ハローワークはどこへ行ってもよい
職業安定所(ハローワーク)というところ、これは東京都、大阪府、愛知県といった自治体の機関ではなくて、労働省という国家機関の出先であることは、ご承知のとおりです。ですから「日本国民ならどこのハローワークを利用してもよい」が原則です。
しかし、会社を辞めてから離職票を届け、失業の認定を受け、雇用保険の失業給付を受けるハローワークは「自己の住所地を管轄するハローワーク」となります。ですから普通は、自宅が新宿区にあった人は新宿ハローワークで求職の手続きをし、あとは週に1度ぐらい、そのハローワークのみへ行くパターンです。
でも、これでは時間が余って仕方がないでしょう。
そこで、「どこへ行っても良い」という原則を思い出し、東京在住者なら、八王子,王子、芝園橋、渋谷、五反田、新宿、池袋、飯田橋、立川、大森、上野、青梅、足立·墨田·亀戸、三鷹、町田、府中の各ハローワークを巡回してみることも一つの方法です。
いえ、埼玉·千葉·神奈川の人がそれらのハローワークを訪れてもいいわけです。北海道·九州の人がこれら東京の各ハローワークを訪れてもいいのです。むろん、東京の人が、フラリと北海道、九州のハローワークを訪れて「今度、こちらに住むので仕事のあっせんを!」と頼んでもいいわけです。憲法の根本の法の下の平等、ということですね。
では一体なぜ、職探しのためにはひとつのハローワークに通い詰めるより数多くのハローワークを訪れた方がよいのか? これはハローワークのある地域の土地柄によって,かなり求人状況に違いがあるからです。
飯田橋ハローワークは29,000事業所を管轄しているそうですから,日本一の規模です。先日ものぞいて来ましたが、数多くのバラエティに富む分野からの求人が山積されていました。
しかし、墨田ハローワーク、亀戸ハローワークは地域性を反映して工場従業員の募集が多いし、新宿ハローワークには外食,流通の求人が少なくありません。
三鷹ハローワークに行きましたら、あまり大企業からの求人はない代わりに、親しみ易い郊外専門店からの募集が目につきました。
また、四国のハローワークを見て来た来談者のKさんの話では「陶芸工の募集があったので魅かれましたね……」ということでした。このように、各ハローワークの立場によって求人企業,採用職種の傾向がかなり違うことから私は「ハローワークめぐりのすすめ」を説くのです。
私も年老いたら、少しはヒマができるでしょうから”全国ハローワークめぐり“をしたい、という気持になっています。
もちろん、コンピュータ社会に入った現在では、「広域職業紹介」ということで、求人情報も全国的にオンライン化されており、地方の人が東京の求人情報を知り、東京の人が各県の求人情報を得られます。
でも、実際の情報はハローワークの係員の方々が握っているわけで、訪れてみたい気分にさせられます。
さて、このように幾つかのハローワークめぐりをすることで最適な職場を探し出した方々が、かなりいます。
私の友人のY氏は埼玉県在住者ですが、都内の職安めぐりを半年もして、ようやくYさんの条件に合う会社を探しました。彼の条件とは「いずれは(今は30代ですから定年退職後にでも )、ハリ師、灸師となって自営したい」という人生目的から、夜間のハリ灸学校へ通えるところでなくてはなりません。なので、5時か5時半に仕事が終了し、残業のない企業でないと学校へ通えないのです。
その難しい条件の許される会社を探し、池袋、飯田橋、新宿、渋谷とぐるぐる回り、遂にピッタリの会社を発見したわけです。
ですからハローワークめぐりは有効です。
本多信一「かしこい転職、上手な離職 – 転職探し87のポイント」からの抜粋